―小さな巨人が教えてくれる「自由」と「相棒」の意味―
「4駆でなければ車で非ず」
強気すぎる、けれど確かに胸が高鳴るこの言葉。
そして、この言葉を“地で行く”存在といえば、やはりスズキ・ジムニーだ。
SUVブームが続く現代。
街乗り重視の“なんちゃってSUV”が増えた今でも、ジムニーだけは昔と変わらない姿勢を崩さない。
頑固で、まっすぐで、自由を象徴するような小さな四輪駆動車。
その存在はまるで、自分の信念を貫くことの大切さを静かに語りかけてくるかのようだ。

■ 4WDの象徴として生まれた、唯一無二の車
ジムニーが誕生したのは1970年。
当時、日本には軽自動車の本格4WDなんて存在していなかった。
「山道を自由に走れる小さな車があったら…」
そんな発想から生まれたのが初代ジムニー(LJ10)だ。
それから50年以上、モデルチェンジを繰り返しても“変えないもの”がある。
- ラダーフレーム
- パートタイム4WD
- 剛性の高いサスペンション
- 軽自動車とは思えない走破力
これらは、時代がどう変わろうとジムニーが守り続けてきた“魂”ともいえる部分だ。
効率や快適性が優先されがちな自動車業界で、この頑固さは逆に心地いい。
「舗装路だけ走れればいい」
そんな世界に、ジムニーは真っ向から反旗を翻している。
■ 小さなボディに詰まった「走破力」というロマン
ジムニーの魅力は何か?
そう聞かれたとき、ほとんどのオーナーがこう答えるだろう。
『どこでも走れること』
ただそれだけ。
しかし、この“たったひとつ”がものすごい価値を持っている。
山奥のぬかるみ、えぐれた轍、岩が転がるガレ場、砂浜、雪道。
普通の車では躊躇する場所でも、ジムニーは平然と進む。
むしろ「行けるかどうか試したくなる」というオーナーも多い。
ほかの車では目的地までが移動だが、ジムニーの場合は「走ることそのものが楽しさ」になる。
目的地がどこであれ、道さえあれば遊び場に変わる—そんな魔法のような力を持った車だ。
■ 4駆の本質は“安心感”
4WDと聞くと「悪路のためのモード」と思われがちだ。
だが、ジムニーの魅力は悪路だけにとどまらない。
- 大雨の高速道路
- 冬の朝の凍った路面
- 山道の急カーブ
- 粗い砂利道
こうした日常のシーンで“確かな安心感”をくれるのが本物の4WDだ。
特に決して大柄ではないジムニーは、軽快な操作性と安定性が両立している。
「大きな車じゃないと不安」
そんなイメージをまるで吹き飛ばし、
“小さな車でも守られている感覚”を与えてくれるのがジムニーの良さだ。
■ 不便?いいや、それすら魅力だ
ジムニーと生活していると、時々こんなことを言われる。
「荷物そんなに載らないでしょ?」
「高速はちょっとしんどくない?」
「後部座席は狭いよね?」
その通りだ。
でも、それでいい。
むしろ、それがいい。
最近はすべてが「便利であること」が正義のように言われるが、ジムニーの価値はそこにはない。
便利ではなく、“価値ある不便”を楽しむ車なのだ。
たとえば、荷物が載らないなら工夫して積む。
パワーが足りなければアクセルを踏む。
揺れがあるならそれも楽しむ。
そうやって「車と一緒に旅している」という感覚が生まれる。
ただ運ばれるだけの移動とは違い、“相棒と走る”体験ができるのだ。
■ オーナーが語る「人生が変わる車」
面白いことに、ジムニーに乗る人の多くがこう口をそろえる。
「人生の行動範囲が広がった」
「休日が待ち遠しくなった」
「知らない景色を見るようになった」
ジムニーを手にすると、なぜか外に出たくなる。
遠回りして帰りたくなる。
寄り道してみたくなる。
大げさではなく、乗る人の“生活リズム”まで変えてしまう。
それは、ジムニーが「自由の象徴」だからだ。
舗装路しか走れない車では見られない景色を、ジムニーは確実に見せてくれる。

■ 最後に:4駆でなければ車で非ず
繰り返しになるが、ジムニーとは「信念でつくられた車」だ。
効率よりも、合理性よりも、
“本物であること”を選び続けた四輪駆動車。
だからこそ、多くのユーザーが愛し、手間も不便も含めて楽しんでいる。
“4駆でなければ車で非ず”
もしこの言葉に胸が少しでもざわつくなら、あなたもきっとジムニーに惹かれ始めている証拠だ。
自由を求める人に、道を選びたくない人に、
「相棒」と呼べる車がほしい人に、
ジムニーは必ず答えてくれる。
小さな巨人が教えてくれる。
車は、ただの移動手段じゃない。
人生の可能性を広げる道具なんだと。



